ヒルネクロコップの日記

ペルーに2年ほど住んでいたスペイン語学習者です。 読書や旅行の記録、ラテンアメリカのニュースについて書いていきたいと思います。2023年秋からメキシコに来ました。

アマゾンの森の中までマテ茶を持ってくるアルゼンチン人たち

先日の南米旅行で印象に残った景色の一つが、アルゼンチン人たちがマテ茶を楽しむ姿だ。

とにかく、どこへ行っても飲んでいる。

公園でくつろぐ人、買い物する人、売店の店員、オフィスで働く人・・・。

何度か「え、こんなところまでマテ茶・・・?」と驚くこともあったので、以下に書いてみたいと思う。

そもそもマテ茶とは

マテ茶は南米発祥のお茶で、丸みをおびたカップに茶葉を入れてお湯をそそぎ、金属製のストローで飲む飲み物だ。

アルゼンチン大使館の説明によると、「マテ茶は日本人にとっての緑茶のように、アルゼンチンの人たちにとってなくてはならない生活に密着したお茶」だそうだ。

https://ejapo.cancilleria.gob.ar/es/node/32146

ミネラルや鉄分が豊富なことから「飲むサラダ」とも呼ばれている。

もともとは先住民のグアラニー族の人たちが飲んでいたもので、アルゼンチン以外にもパラグアイウルグアイ、ブラジル南部で飲まれているらしい。

(アルベルト松本『アルゼンチンを知るための54章』より)

 

今回の旅行で初めてマテ茶を飲んでみたが、苦くておいしい。はまりそうな味だ。

 

イグアスの滝 マテ茶を飲みながら観光する人々

マテ茶を飲むアルゼンチン人の姿が印象に残った場所が、イグアスの滝だ。

イグアスの滝は「世界三大瀑布」の一つで、アルゼンチンとブラジルの国境にある。

多くの観光客が訪れるアルゼンチンの名所の一つだ。

大迫力の滝を見るためには、国立公園に入ってから何キロも遊歩道を歩かなければいけないのだが、多くのアルゼンチン人(と思われる)の家族連れがマテ茶セットを持ち歩いている。

マテ茶セットとは、マテ茶の容器、茶葉、そしてお湯をいれたでかい魔法瓶だ。

ただでさえ疲れる道中なのに、さも当然かのように重たいセットを運んでいる姿に軽い衝撃を受けた。

マテ茶セット。これよりも大きな魔法瓶を持ち歩いている。https://www.cheka.com.ar/notas/ver/companero-tradicionalより引用。

アルゼンチン人たちにとって、観光旅行にもマテ茶は必須のアイテムらしいのだ。

日本人の緑茶愛に比べると、はるかにアルゼンチンのマテ茶愛の方が勝っている。

(ちなみに、イグアスの滝のあるミシオネス州は特に茶葉の生産が盛んらしく、それも影響しているのかもしれない。)

イグアスの滝にあった巨大なマテ茶のレプリカ
アマゾンの森の中まで・・・!?

さらに驚いたのが、ペルーのイキトスに行ったときのことだ。

2泊3日でアマゾンのジャングル探索ツアーに参加したのだが、宿泊先のロッジでアルゼンチン人のご家族と一緒になった。

なんとこのご家族もマテ茶セットを持ってきていた。

アルゼンチンからわざわざ、ペルーのジャングルの中まで…。

しかも、旅行中になくならないよう3キロほどはあろうかと思われる巨大な茶葉の袋を携帯している。当然、でかい魔法瓶も。

アマゾンのロッジは扇風機がないと寝れないほどの蒸し暑さだ。

それにもかかわらず、ご家族は悠然と熱いマテ茶を飲んでいる。

その一貫した情熱に、えも言われぬ感銘を受けた。

 

マテ茶を愛する発電所パラグアイ人たち

もう一つ、マテ茶が印象に残っている光景がある。

パラグアイ・ブラジル国境にある「イタイプー水力発電所」に行ったときのこと。

発電所の管理センターはパラグアイ人とブラジル人が半々の人数で業務を行っているのだが、パラグアイ人スタッフだけがマテ茶を飲みながら仕事をしていたのだ。


www.youtube.com

この動画の手前にいて優雅にマテ茶を飲んでいるのがパラグアイ人。

マテ茶を持たず、奥で忙しく仕事をしているのがブラジル人だ。

ただそう見えただけかもしれないが、パラグアイ人の方がゆったりと、お喋りを楽しみながら働いているような印象を受けた。

 

どうやらマテ茶を愛しているのはアルゼンチン人だけではないらしい。

仕事中にマテ茶をたしなんでいる姿を見ると、人生を謳歌しているような気もしてうらやましくなったりもした。