ラテンアメリカを舞台にした映画を4本見た。
簡単に感想をメモしておこうと思う。
最初に言ってしまうと、「息子の面影」(メキシコ)は傑作だった。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ベネズエラ」(ベネズエラ)、「カナルタ -螺旋状の夢-」(エクアドル)は秀作という感じ。
「十字架」(チリ)はちょっと期待はずれだった。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ベネズエラ」(監督:アナベル・ロドリゲス・リオス/2020年)
ベネズエラのとある村を定点観測したドキュメンタリー。
この村の様子を見ているだけで、ベネズエラに起こっているいろんな問題がわかってきて複雑な気持ちになる。
チャベス派と反チャベス派の住民の対立、石油開発による環境汚染、経済破綻による生活の変化、都市部の役人から見放される田舎の人々、などなど。
今月ちょうどベネズエラでは、明らかに公平でない議会選が行われ、マドゥロ大統領ひきいるチャベス派与党が「大勝利」をおさめた。
この映画が記録しているのは野党が大勝した前回(2015年)の議会選の様子。
劣勢と悟ったチャベス派の村長が、「携帯電話や食料を提供するからうちに投票してくれ」と住民たちを買収してまわったり、投票所の前で堂々と票の売買が行われていたりと、ちゃんと選挙が機能していない様子がよくわかる。
ほかにも、子供たちが国民食の「アレパ」をつくる場面や、ハイパーインフレのせいで大量の札束で買い物をする場面、美女コンテストやパーティーの場面など、ベネズエラの田舎の日常生活が伝わってきて面白い。
なかなか生の声で実情を知ることが難しいベネズエラだが、この映画は1時間半の中にいろんなことが詰まっていて勉強になる。
「ラテンビート映画祭2020」にてオンラインで視聴。
第17回ラテンビート映画祭|LATIN BEAT FILM FESTIVAL 2020
「息子の面影」「十字架」「カナルタ -螺旋状の夢-」の感想はこちらからどうぞ。