ヒルネクロコップの日記

ペルーに2年ほど住んでいたスペイン語学習者です。 読書や旅行の記録、ラテンアメリカのニュースについて書いていきたいと思います。2023年秋からメキシコに来ました。

「十字架」(チリ) 最近見たラテンアメリカの映画 ③

最近、ラテンアメリカの政治・社会をテーマにした映画を4本見た。

ベネズエラのドキュメンタリー「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ベネズエラ」と、アメリカ・メキシコ国境の実情を描いた「息子の面影」の感想はこちらからどうぞ。

hirunecrocop.hateblo.jp

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3つめは、チリのピノチェト将軍によるクーデター(1973年)のどさくさにまぎれて起こった、軍による19人の殺人事件を扱ったドキュメンタリーだった。

「十字架」(監督:テレサ・アレドンド、カルロス・バスケス・メンデス/2018年)

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K'sシネマ新宿の「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー山形in東京」にて。

内容はこんな感じ。

チリ南部の小さな町で起きた製紙会社組合員大量殺人事件。軍事クーデターから数日後の1973年9月、19人の工場労働者が警察に連行され、6年後、遺体となって発見された。解決に至らない事件はそのまま闇に葬られるかに見えたが、40年後、事件への関与を否定していた警察官のひとりがその証言を覆した時、製紙会社側と独裁政権の思惑が明らかになる。いまだ「死」がそこかしこに漂う閑静な町の姿と、殺害現場に立てられた夥しい数の十字架が声にならない叫びを上げ、国家が手引きした虐殺の歴史を告発する。

YIDFF: 2019: インターナショナル・コンペティション

 

これだけ読むとすごく面白そうな映画なのだが、実際には、事件の起こった町の風景の映像に、裁判での証言の声が淡々と重ねられる構成で、見るのにかなりの集中力を要した。

証言者の顔を映さないという工夫なのかもしれないが、 インタビューはやはり顔が見えてはじめて感情移入できると逆に気付かされた。

ピノチェト時代の拷問・虐殺にかなり関心を持っている人じゃないと最後まで集中して見るのは難しいんじゃないかな。

 

それに比べると、以前に見たパトリシオ・グスマン監督の「光のノスタルジア」と「真珠のボタン」はピノチェト時代を扱った映画として、すごく惹かれた。

いまもアマゾンのPrime Videoで見られるのでおすすめです。

光のノスタルジア

光のノスタルジア

  • メディア: Prime Video
 

 

真珠のボタン

真珠のボタン

  • メディア: Prime Video
 

 

エクアドル先住民のシャーマンの行動を記録した文化人類学的ドキュメンタリー「カナルタ-螺旋状の夢-」の感想はこちら。

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