11月1日、2日はメキシコの死者の日だ。
この時期が近付くと毎年、SNSからきれいな写真がたくさん流れてきて、懐かしい気持ちになる。
僕は2018年、ペルーに住み始めたばかりのころ、妻と一緒に死者の日のメキシコを旅行したのだが、そのときの光景はいまも深く記憶に刻まれている。
特に夜中に訪れたいくつかの墓地は、この世のものとは思えないほどの美しさで、「本当にこれは今自分が見ている景色なのだろうか」と夢見心地で過ごしたのを覚えている。
そのときのことを写真を見返しながら振り返ってみようと思う。

- ツアーの拠点 世界遺産の都市モレリア
- プレペチャの伝統を受け継ぐ華やかな祭壇
- 幻想的な墓地 地元の人々の交流
- 火の玉ホッケー
- 思わぬトラブル たどり着けない島
- 怪我の功名 再び幻想的な墓地へ
- 翌日に訪れたハニツィオ島
- まとめ 現地へのアクセス、ツアー会社など
ツアーの拠点 世界遺産の都市モレリア
僕たちが訪れたのはモレリア(Morelia)という世界遺産の街だ。
メキシコシティからバスで4時間ほど、コロニアル調の街並みが美しい都市で、ミチョアカン州の州都になっている。
この街自体、とても気持ちのいい街で大好きになったのだが、そのことは別の記事に書こうと思う。

11月1日の19時、モレリア中心部のツアー会社から、パツクアロ湖周辺の墓地と湖に浮かぶ島に行けるツアーに出発した。
パツクアロ湖はオアハカと並んで死者の日に観光客が訪れる二大観光地のうちの一つだ。
モレリアから車で1時間半ほどの場所にある。
特に湖にある島の一つ、ハニツィオ島の死者の日は世界的に有名だ。


ツアーには個人宅の祭壇、町の墓地、そしてパツクアロ湖のパカンダ島という島が目的地に含まれていて、料金は一人49ドル。
ハニツィオ島はさすがに観光客でごった返すかと想像し、あえて別の島に行くツアーを選ぶことにした。
プレペチャの伝統を受け継ぐ華やかな祭壇
グループツアーのバンに乗り込み、最初に訪れたのはサンタフェ・デ・ラ・ラグーナ( Santa Fe de la Laguna)という町。
先住民族プレペチャの人々の伝統を守り続けている場所だそうだ。

町を歩くと、センパスーチル(Cempasúchil)という名前のオレンジの花がいたるところを彩っている。ほのかに甘い香りのする、死者の日を象徴する花だ。

一般の方の家に立ち寄らせてもらい、オフレンダ(ofrenda)と呼ばれる祭壇を見せてもらう。
最初の家は、部屋がまるごと飾り付けられ、家族が集まって先祖の霊と過ごせるようになっている。

2軒目に寄らせていただいた家の祭壇には、亡くなったおじいさんが好きだったという果物がたくさん捧げられていた。
僕たちもツアーガイドからの指示で事前に市場で果物を購入していたので、お供えをさせてもらった。
幻想的な墓地 地元の人々の交流
次に訪れたのは、アロクティン(Arócutin)という町。夜の23時すぎに到着した。
町の中心部に墓地があり、住民たちはここで死者の霊とともに一晩を過ごすという。

墓地に一歩足を踏み入れると、息をのむ光景が広がっていた。
無数のろうそくの明かりの中に映える、センパスーチルの花で飾りつけられたお墓の数々。
その前に座って語り合う、伝統衣装を身にまとった人々。
亡くなった家族の魂が戻って来るのをここで待ちつつ、一晩を過ごすのだという。
(※写真はすべて許可を得て撮っています)



その年(2018年)に公開された映画「リメンバーミー」の世界に迷い込んだようであり、そんな表現をするのが失礼に感じるほど美しい場所だった。
(もともとこちらがモデルなのだから、「リメンバーミーの世界にいる」と感じるほうが倒錯している。)



僕はこのときまだスペイン語を勉強し始めたばかりだったが、たどたどしい言葉で「どのように一晩過ごすのか」などと聞くと、皆丁寧に説明してくれた。
この地域はプレペチャという先住民族が住む場所で、高齢の方の中にはスペイン語を話さない人もいた。

伝統衣装を着た若い女性二人が僕たちに話しかけてくれた。
今日一日ここにいて、外から来た人にプレペチャの人々の風習をボランティアで紹介しているのだという。
スペイン語を話す日本人が珍しかったので話しかけてくれたのだそうだ。
日本のお盆の話などをしているうちに仲良くなり、素敵な首飾りをプレゼントしてくれた。

このときもらった首飾りは今も大切にとってある。
ミニチュアのほうきは悪いエネルギーをはらい幸運を呼び込む意味があるらしい。
メスカルが飲める一口サイズの陶器も付いている。

墓地の中には教会があり、2階に登ることができる。そこからの眺めもまた壮観だった。



火の玉ホッケー
墓地から外に出ると、地元の人たちによるホッケーの試合が行われていた。
ただのホッケーではなく、火のついた球が使われている。

まず男子たちが試合をし、その後は女子たちの試合。歓声が上がり、めちゃくちゃ盛り上がる。まるで暗闇の中で魂が行き来しているかのようだ。


スペイン語版ウィキペディアによると、この球戯は先住民族プレペチャの人々によって3500年も前から行われている儀式なのだという。
ボールは太陽に見立てられ、宇宙と神々の秩序を保つという意味があるらしい。
布とエネケン(ロープに使われる植物)からボールを作り、燃料を染み込ませて火をつけるそうだ。
👇動画だとこんな感じ。
思わぬトラブル たどり着けない島
ここまでは順調なツアー行程だったが、ここから思わぬトラブルに巻き込まれた。
僕たちのツアーはパツクアロ湖の島に行くために船着き場を目指していたのだが、渋滞に巻き込まれ一向に車が動かない。
この年は「リメンバーミー」が公開されてから初めての死者の日で、メキシコ人も外国人も大勢がこの地方にやってきて、モデルになった場所の一つハニツィオ島を目指していたのだ。
夜中の3時が過ぎても渋滞は解消されず、ガイドが僕たちツアーグループに決断を迫った。
このまま島を目指すか、あきらめて別の場所に行くか。
ツアーグループの多数決で、島をあきらめて別の墓地に行き先を変えた。
島の墓地はツアーのハイライトの一つで誰もが楽しみにしていたので、車内には沈鬱で重苦しい空気が充満していた。
怪我の功名 再び幻想的な墓地へ
朝4時、ツルムタロ(Tzurumútaro)という別の小さな町の墓地に到着した。
墓地に入って再び度肝を抜かれた。
先ほど訪れた墓地よりもさらに広大な土地に、オレンジの花とろうそくの灯火の幻想的な光景が広がっていたのだ。

すでに明け方近くになっていたので人の姿はまばらだったが、一つ一つのお墓が丁寧に飾り付けられていて、それぞれの家族の愛情の深さが伝わってきた。
当初のツアー内容には含まれていなかった場所だが、30分ほど静寂に包まれた美しい場所に滞在することができた。


翌日に訪れたハニツィオ島
翌日、リベンジというわけではないが、僕たちは日中にハニツィオ島を自力で訪問してみることにした。
島は完全に観光地化されていて、みやげ物店からの声掛けも多く、個人的にはあまり好きな雰囲気ではなかった。
雨が降っていたこともあって、墓地もあまりきれいには感じなかったというのが正直なところだ。
行けていないからわからないが、もしかしたら僕たちが行くはずだったパカンダ島も同じような状況だったのかもしれない。
前日、島ではなく別の墓地に行けて結果的にはラッキーだったと今では思っている。
まとめ 現地へのアクセス、ツアー会社など
死者の日にメキシコを訪れることを検討している人には、パツクアロ湖周辺の墓地ツアーも候補に入れてみることをおすすめします。後悔しない景色が待っているはず。
ETNという高速バスが便利。
メキシコシティの北バスターミナルと西バスターミナルから出ています。
👇ETN公式サイト
ETN Turistar | First-Class Bus Travel Across Mexico
👇北バスターミナル
https://maps.app.goo.gl/LUr3pzy2HZnSBRrw8
👇西バスターミナル
https://maps.app.goo.gl/WJxybMmBASouyCDg8
墓地を巡るツアーが満員になる恐れもあるので、僕たちは9月半ばくらいからツアー会社とコンタクトをとっていました。
申し込んだツアー会社はこちら。7年前の情報なので変わっていることも大いにあり得ます。
👇コンタクトをとった仲介のツアー会社(グアダラハラ)
https://www.facebook.com/ExploraMexicoTours/?locale=es_LA
👇実際に集合したツアー会社(モレリア)
https://maps.app.goo.gl/YqiU8gzSk39sZBpw5

👇最初に訪問した町「サンタフェ・デ・ラ・ラグーナ( Santa Fe de la Laguna)」(個人宅で祭壇を見た町)はこちら。
https://maps.app.goo.gl/8JB4d3h67eX5yrVb9
👇次に訪問した「アロクティン(Arocutín)」という町の墓地はこちら。
https://maps.app.goo.gl/EukZJuWk1ecLWG8V8
👇最後に訪問した「ツルムタロ(Tzurumútaro)」という町の墓地はこちら。
https://maps.app.goo.gl/w2Zz7QHR4Q4W6SRN8
僕は行っていないが、パツクアロ湖周辺をグーグルマップで「Panteón(墓地)」と検索すると、上記以外にも良さげな墓地がたくさん出てきます。
墓地は神聖な場所なので、フェイスペイントをしないこと、写真撮影の許可をとることをおすすめします。
死者の日は非常に混み合うので、ホテルもツアーも早めに予約するのが吉です。