6月上旬、家族からチケットをもらったので大阪万博に行ってきた。
漫然と回るよりはテーマを決めたほうがいいと思い、「ラテンアメリカのパビリオンを全部回ること」を目標にした。

平日にもかかわらず想像よりも人が多く、どこを回っても行列、行列・・・という感じだったが、最終的には目標を達成できたのではないかと思う。
意外と知らない国も多く、特にカリブ海諸国の国々との出会いは楽しかった。
- ラテンアメリカのパビリオン一覧
- ペルー館
- チリ館
- ブラジル館
- コロンビア館
- ボリビア館(コモンズA館)
- ウルグアイ館(コモンズC館)
- バルバドス館(コモンズA館)
- ドミニカ共和国館(コモンズB館)
- スリナム館(コモンズA館)
- トリニダード・トバゴ館(コモンズA館)
- グアテマラ館(コモンズC館)
- アンティグア・バーブーダ館(コモンズD館)
- ホンジュラス館(コモンズD館)
- まとめ
ラテンアメリカのパビリオン一覧
数えたところ、ラテンアメリカ(中南米+カリブ地域)の国々は、独立したパビリオンとして4か国、「コモンズ」と呼ばれる多国籍館に20か国が出展している(間違っていたら教えてください)。
独立したパビリオン:ブラジル、コロンビア、ペルー、チリ(4か国)
コモンズA館:グレナダ、スリナム、セントクリストファー・ネービス、セントルシア、トリニダード・トバゴ、バルバドス、ボリビア
コモンズB館:ガイアナ、ジャマイカ、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、ドミニカ共和国、ハイチ、パラグアイ
コモンズD館:アンティグア・バーブーダ、キューバ、ベリーズ、ホンジュラス
すべて予約なしで入場できるところばかりだ。
ちなみに、メキシコは予算不足から万博には参加していないらしく残念…。
以下、印象に残った場所をメモ程度に感想を残しておきたいと思う。
ペルー館

夕方のすいた時間を狙って行ったので入場まで15分待ちくらい。
内容も充実していて一番おすすめかもしれない。
最初の部屋は観光PR動画の上映、次の部屋では日本とペルーとの結びつきを示す映像が流される。
リマにある天野博物館が紹介されるほか、ペルーの考古学に貢献した日本の学者たちが映像に登場する。


またペルーのアニメスタジオが作った神話をモチーフにした映像作品もセンスあふれる仕上がりだった。

その後はペルー料理、織物、レタブロなどの民芸品の紹介など。
(僕は遭遇できなかったが、コーヒーの提供が午前10時半、ペルー料理の試食会が13時半と16時の2回、ピスコサワーの提供が18時にあるらしい。)
最後の部屋はペルー北部のモチェ王国(100~600年頃)の展示なのだが、これがかなり見ごたえがあった。

6~7世紀に統治したとされる「シパン王」の金銀さまざまな埋葬品を見ることができ、この時代にこれほど精巧な細工ができたのかと驚かされる。
1987年に王のミイラと一緒におびただしい量の黄金細工が見つかり、当時世界的なニュースになったらしい。
ペルー北部の発掘にはこれまで多くの日本人考古学者が関わってきたので、そのつながりで万博にも持ってくることができたのだろう。


チリ館

15分待ちくらいで入れた。待ち時間はかなり短いパビリオンだと思う。
チリ最大の先住民族マプチェの人々の織り物が圧倒的。万博のためにこの巨大な織り物を織ったのだろうか。織り物一本勝負のパビリオン。




首都サンティアゴ出身という案内員の方と話したが、ワーホリで来日し、日本語を勉強しながら万博で働いているらしい。とても親切に解説してくれた。
各国のパビリオンも人手不足の中で案内スタッフを確保するのはきっと大変なんだろうなと想像した。
ブラジル館

30~40分待ちくらい。ここだけ現代アートの美術館みたい。ブラジルについて知るというよりは、アートに興味のある人は楽しいかも、という感じ。無理して並んで入る価値があるかは微妙…。


コロンビア館

なんと言ってもフアン・バルデスのコーヒーが飲めるのがすばらしい。
フアン・バルデスとはコロンビアを拠点にしたスタバのようなコーヒーチェーンで、南米各国に展開している。
僕はペルーに住んでいたときのスペイン語の自習時間や、コロンビア各地を旅行したときに大変お世話になった(とても好きなのでロゴの入った水筒やピンバッジを持っているほど)。

今回飲んだのアイスカフェラテもおいしかった。
ただ日本人の店員が「ジュアン・バルデスコーヒーです!」と間違って宣伝してたのが残念。
ちなみにフアン・バルデスの店はパビリオンの入り口とは別なので、そんなに並ばなくても購入可能。

パビリオンは30~40分待ちくらい。
展示としては、ガルシア=マルケスが『百年の孤独』を書くのに使ったというタイプライターが見られるのが貴重。
だが案内員にすぐ次の部屋へ誘導されてしまってゆっくり見学できないのが残念。
案内員の方自体、あまりガルシア=マルケスに興味がない様子だった。
また、『百年の孤独』に関する日本語の説明文が間違ってる。重ねて残念。


その他は生物多様性に関する展示など。
コロンビアは鳥類の固有種の数で世界一、蘭の種類でも世界一だそうだ。
夜になると建物がコロンビア国旗の色になって美しかった。
ちなみに、後から教えてもらったのだが、コロンビア館の外観は『百年の孤独』の冒頭の一文に出てくる「氷」をイメージしたものらしい。
ラテンアメリカ文学好きでありながら、会場にいるときには全く気付かず恥ずかしい…。
ボリビア館(コモンズA館)

運よくチャランゴの生演奏が聴けた。時間限定でコーヒーのサービスもあった。
オルーロのカーニバルの仮面も素敵。小さいがホスピタリティを感じる展示だった。


ウルグアイ館(コモンズC館)

ワインセラーもあるおしゃれなスペース。
ホワイトボードに「ピンとピンを交換しませんか?」と書いてあったので、持っていたピンバッジをスタッフの方に渡すと、ウルグアイ国旗×日本国旗のものをくれた。
休憩できる木の椅子もある。


バルバドス館(コモンズA館)

カリブ海の小さい島国なのにかなり展示を頑張っている印象。
スクリーンの中のお姉さんがバルバドスのダンスを教えてくれる。
「ラム酒発祥の地」「100歳以上の人口が最も多い国の一つ」などのトリビアも。
きれいなビーチを冒険するゲームもあり楽しいパビリオン。



ドミニカ共和国館(コモンズB館)

展示の前半は野球推し。ドミニカのリーグは10月中旬から1月末まで行われているらしい。
あとカーニバルの衣装が素敵。次の旅行で行きたい国の一つ。
先住民である「タイノ人」の土器がめちゃくちゃかわいいのだが、15世紀のスペイン人入植以降にほとんど絶滅させられてしまったという悲惨な歴史を持つ。




スリナム館(コモンズA館)

スリナムは興味深いことにインド系が約3割を占めるらしく、ヒンドゥー教の結婚式などの写真が飾られていて興味深かった。
その他、黒人、ジャワ系なども多く、本当に多文化共生の国なのだと実感。


トリニダード・トバゴ館(コモンズA館)

カリブ海最大規模のカーニバルで有名な島国。壮麗な羽の衣装が展示されている。
「スティールパン」というドラム缶をへこませた銀色の楽器を自由に弾くことができる。
この楽器はトリニダード・トバゴで20世紀に発明されたそう。
説明書きによると「国民的楽器であらゆるジャンルを演奏できる万能楽器」だそうだ。
2本のバチで鉄琴のように弾くのだが、叩く位置と強さのコツがつかめず、見た目よりも音色を出すのが難しかった。


グアテマラ館(コモンズC館)

伝統的な民族衣装が素敵なパビリオン。
だが何と言っても、ちゃんとサン・シモンが祀られているのが評価できる。
サン・シモンはいくつかのグアテマラの先住民の町で絶大な信仰を集めている像で、白人がスーツを着て葉巻を加えている姿が多い。
もともとは願い事を叶えてくれた金持ちのスペイン人が神格化されたと言われている。
マヤの呪術的な要素も加わっていかにもグアテマラっぽい民間信仰だ。
以前、グアテマラでサン・シモン像めぐりをしたことがあるので、いつかブログに書いてみたい。



アンティグア・バーブーダ館(コモンズD館)

特に展示が充実していたわけではないものの、「365の白砂のビーチがあり、1年間毎日違うビーチに行けます!」「ピンクの砂のビーチ 17マイルのカリブ海で一番長いビーチもあります」などの文言に惹かれ行きたくなってしまった。
ホンジュラス館(コモンズD館)

マヤ文明のコパン遺跡の解説がメイン。日本の調査団の紹介も。
ゲームのコントローラーを使って遺跡内部をVR見学できる。
閉館間際に入ったのでゆっくり見れなかったのが残念。


まとめ
上記に挙げたのはラテンアメリカのパビリオンの半分くらい。個人的に興味を惹かれた場所について書いてみた。
他にもいろんな展示があり、特にカリブ海にはこんなにたくさん聞いたことのない国があるのかと驚きだった。
(予算の都合なのか、展示に全然力を入れていない国もあったが…。)


スペイン語圏で言うと、唯一アフリカにある赤道ギニアも面白かった。(大統領の演説も祭りの説明もスペイン語…!)
ペルー館は展示が充実していて楽しかったが、やはり全体としては知っている国のパビリオンに行くよりも、未知の国との出会いの方が楽しい。
そういう意味では万博は、意図せぬ出会いの可能性に開けた場所なのだと感じた。

一方で、人の多さにはけっこう辟易とした。
もう一度行きたいかと聞かれれば、行きたくないかな…、というのが正直なところだ。
他人におすすめするかどうかも結構微妙。
人の多さが完全に会場のキャパをオーバーしているという印象だ。
これが現在の万博公園(70年万博が行われた場所)くらいの人の少なさだったらどんなに楽しいだろうと思わざるを得ない。