先月、グアテマラにある野生動物の保護施設に行った。
そこで、ジャガーを初めて見た。
えさを欲しがっているようでウロウロしていたが、歩き方も、肌の模様もかっこよくて美しい。
あまり滞在時間に余裕がなかったのだが、20分ほどうっとりと見とれてしまった。
こんな動物にジャングルで出会ったらどんなに恐ろしいことか。
施設の説明文によると、ジャガーはシカやアルマジロなどを食べる肉食動物で、しかも「頂点捕食者」に当たるらしい。
つまり、生態ピラミッドの頂点に位置し、唯一の天敵は人間だけだそうだ。
でも、ふと気になったのが、チーターやヒョウとの違いは何だろうか?
恥ずかしながらそのときまで全然気にしたことがなかった。
このサイトには、体の特徴からジャガー、チーター、ヒョウを見分ける方法が書いてあって面白い。
でも大事なのは、チーターとヒョウはアフリカ・アジアが生息域なのに対し、ジャガーだけは南北アメリカ大陸に生息している。
ついでに言うとライオンとトラもアメリカ大陸にはいないので、ジャガーがこの大陸の頂点に位置しているのだ。
(ちなみにピューマもアンデス山脈などに生息していて、インカ文明では神聖視されていた。)
歴史をたどってみると、マヤ文明でもアステカ文明でもジャガーは神として崇められてきたそうだ。
手元に資料がないので詳しくは後日調べてみようと思うが、マヤには「ジャガーの爪」という称号の王がいたし、アステカ神話には「テスカトリポカ」というジャガーの神がいて、実際にその姿をまねたエリート戦士集団が存在したという。
思い出してみると、ペルーのノーベル文学賞作家マリオ・バルガス・リョサの代表作に『都会と犬ども』という作品があるが、中心人物として登場する最強のいじめっ子の名前も「ジャガー」だったではないか。
そんなアメリカ大陸の頂点に位置してきた動物も、いまはヒトによる狩猟や森林伐採によって、準絶滅危惧種に指定されている。
僕が行ったグアテマラの保護施設「ARCAS」は、数十種の動物を年に300~600頭も引き取る、世界でも有数のレスキューセンターらしい。
ジャガーのほかにピューマやオオヤマネコなども見ることができた。
マヤ文明の世界遺産「ティカル遺跡」の近くにあり、リゾート都市フローレスからボートでわずか10分で行くことができるので、グアテマラ観光の際はぜひ。
ちなみに、グアテマラでは民衆のお祭りにジャガーの仮面が使われるらしく、博物館やみやげ物屋でけっこう見かけた。
スーツケースに余裕があれば一つ購入したかったのだが。。